ゲンちゃん人工肛門とさよならの巻【後編】

ゲンちゃん成長期は、ダウン症のゲンちゃんの成長を見守る成長日記です。

無事人工肛門閉鎖術を乗越えたゲンちゃん、ここからが本当の地獄の始まりです。そう、1週間の絶食です。お水も飲めません。ひたすら点滴で耐え忍びます。さらに、手術後のため傷口の痛みもプラスです。「え?さすがに痛み止めが投与されるでしょ」とお考えのあなた、はい、その通りであります。ただし、通常投与されている以上の痛み止めは、ボタンを押さないと投与されません。そんな面白ボタンを押すのは、なんと、お見舞いに来ている両親です。中卒お父ちゃんにそんなボタンを渡すとか、もうワクワクが止まりません。ゲンちゃんが痛そうに泣いているときに、ボタンを連打していたのは良い思い出です。ちなみに痛み止めはしっかり制御されていて、30分に一回しか投与できないようになっています。ボタンを連打しても全く意味はありません。

ただ、中卒お父ちゃんの妻は手術翌日の泣き叫ぶゲンちゃんを見て「お腹をすかして泣いているんだ!なんてかわいそう。オロローーーンオロローーーン」と自分も半泣き状態だったそうです。いや、早く痛み止めのボタンを押してやってくれ。案の定看護師さんが来て痛み止めのボタンを押したら泣き止んだそうです。意思の疎通って大事だね!

絶食中のゲンちゃんですが、腸液は出ているようです。というか、腸液をしっかり外に出してあげなければいけません。そのため、肛門に管というか、チュッパチャップスの棒のようなものを刺していました。あまり中に入らないように、テーピングを棒にぐるぐる巻いてあります。なんだかアナログで楽しくなってきます。ちなみにこの時は点滴、背中の麻酔の管、尿を排泄する管、肛門のチュッパチャップスと管だらけです。もちろん寝返りなんかできません。

そんな管だらけのゲンちゃんですが、手術の翌日には血の混じったうんちをぶっぱなしました。妻から報告をもらった中卒お父ちゃんも大喜びです。というか、まさか人の肛門からうんちが出て感動する日が来るとは思いませんでした。タイムマシンに乗って過去の自分に「お前は肛門からうんちが出て感動するんだ」と伝えても信じないことでしょう。いや、通報するな、そんな変態が話しかけてきたら。

辛い辛い絶食を乗越えれても、すぐに腹いっぱいのご飯は食べられません。まずは50ミリリットルのミルクを数回、次の日は100ミリリットル、その次の日はミルクを好きなだけ、そして最後に離乳食となります。「ミルクを少ししか飲めないときのゲンちゃんは泣き叫ぶんや!なんてかわいそう。オロローーーンオロローーーン」と泣いていた妻とは裏腹に、ミルクの量が少なくても特に泣かないゲンちゃん、あまり泣かないのはダウン症の影響なんでしょうかね。いろいろ危惧していたのに、かなり順調に回復しました。

危惧していたこととしてお腹の傷が開くのではというものもあったのですが、開いた傷はとても小さく、ガーゼと薬を塗れば大丈夫といったレベルでした。ゲンちゃん最後の最後で再生能力:Dの汚名返上、名誉挽回です。汚名は挽回するものではありません。ちなみに塗る薬の名前は「ゲンタマイシン」です。まるでゲンちゃんのための薬のような名前です。前回も含めてとってもお世話になりました。

なんだなんだありましたが、ひとまず無事退院が決まったゲンちゃん。ここからは、「ゲンちゃんストーマ奮闘記2:ゲンちゃんは鎖肛だよ」でもお伝えしたように、朝と夜に浣腸をしてうんちを一気に出す訓練がスタートです。もちろん、やり方は入院中にレクチャーをしっかり受けます。ただ、退院の前日に中卒お父ちゃんがお見舞いに行った際に、看護師さんがダース単位で浣腸液が入っている箱をニコニコしたご尊顔で渡してきたのです。ま・・・・まさかこれを持って帰れと・・・・。
はい。持って帰りましたよ。40過ぎたおっさんが缶ビール片手に浣腸液の入っている箱を持ち帰る様は、完成された変態としか言いようがありません。いつも「最近職務質問されないんだよねー。たまには声かけてほしいよねー。」とか言って本当にすいません。マジで今だけは職務質問しないでください。本当にすいませんでした。調子に乗っていました。ごめんなさいごめんなさい。

そういえば、ゲンちゃんは元々おとなしいからなのか、病棟の看護師さんに大人気でした。退院の時は看護師さんから「まだいていいんだよー」とか言われていました。仕事中なのにわざわざお別れを言ってくれた方もいらっしゃいました。へーーーーーモテるんだねーーーーーーすごいねーゲンちゃん、え?別に妬んでないっすよ!本当だからね!勘違いしないでよね!!!

 

人工肛門とお別れする前、今ではきれいなおへそがあります。

 

もう管は外れているのですが、寝返りできないように固定されたベストを着ているおゲン

 

退院直前で調子に乗るゲンちゃん

“ゲンちゃん人工肛門とさよならの巻【後編】” への1件の返信

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です